最期の晩餐
「これしか出ないのに、何でこんなに痛いのさ……。しかも、出しても痛いやん」

 何をしても収まらない痛みに、トイレの中でひとり悶える。

 どのくらいそうしていたか分からないが、同じ態勢のまま便器に座ってお腹を抱えていると、痛みが少しだけ落ち着いてきた。

 よし、トイレから出られるぞ。待合室に行こう。

 気力を振り絞り、便器から腰を上げ、手を洗ってヨタヨタと待合室まで歩き、壁側のソファに雪崩れ込むように座ると、背もたれに身体を預けた。大変申し訳ないが、行儀良く座っていられる体力など残っていない。

 熱があるからなのか呼吸がし辛くて、「はぁはぁ」と肩で少し荒めの呼吸をしていると、

「順番が来るまで、ベッドで寝ていてください。お辛そうなので」

 心配そうな顔をした看護師さんが寄ってきた。

 ベッドで待ってていいの⁉ 何て有り難い。看護師さんが、神様に見えた。

「歩けますか?」

 と、私の顔を覗き込む看護師さんに、

「はい‼」

 顔が胸にめり込みそうなほど深く頷いた。ベッドで横になれるなら、身体に鞭打ってでも歩く。

 看護師さんに、診察室とカーテンで仕切られた隣の部屋のベッドに案内してもらう。
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