【ピュア青春BL】幼なじみの君と、ずっとミニトマトを育てたい。
「それにしても、荷物すごいけどどうしたの?」

 由希くんは腕にエコバッグの持ち手部分を通して、手には小顔な由希くんの三倍はありそうなイチゴの白い鉢植えを持っていた。

「買い物終わってカフェに向かう途中にイチゴがいっぱいお庭になっている家があって、イチゴもいいなと眺めていたら、そこに住んでいるおばあさんにもらったの」
「由希くんはいっぱい物をもらうね」
「ね、皆、優しいね」

 由希くんに何かをあげたくなる気持ちがよく分かる。幼い時にも近所の人たちにお菓子をたくさんもらっていた記憶がある。それを由希くんは「半分こね」と言い、いつもくれた。

――由希くんが誰よりも優しいけど。

 荷物が重たそうだな。

「由希くん、俺の自転車乗れる?」
「どうだろう。律くんの自転車みたいなスポーツっぽいのは乗ったことないから分からないな……でも、乗れそうかな?」

「じゃあ、椅子低くするからこれ乗って?」

 そう言うと俺は由希くんが乗れそうな高さにサドルを調整した。

「そういえば、由希くんの自転車は?」
「今、お母さんが役所行くのに使ってる」
「そうだったんだ……」
「由希くん、またいでみて? 大丈夫そう?」

 由希くんは少しよろよろしながら俺の自転車にまたいだ。

「何とか、大丈夫っぽい。でも僕が乗ったら律くんはどうするの?」
「俺は歩く」

 由希くんが持っていたエコバッグとイチゴの鉢植えを受け取る。エコバッグが思ったよりも重たくてずしんと沈んだ。

「エコバッグ、重っ!」
「今日スーパーでスイカが安くて。広告見て買ってきたの。スイカは食べられる?」
「うん、食べれる」
「じゃあ、後で一緒に食べよ?」

由希くんは最初自転車にまたいでゆっくり進んでいたが、途中で降りてそれを押した。

< 81 / 105 >

この作品をシェア

pagetop