【ピュア青春BL】幼なじみの君と、ずっとミニトマトを育てたい。
「由希くん、恋人意識してくれたんだ?」
「うん。お試しに恋人になったけど、何にも変わらなかったから、何かしたいなって思って……」
「意識してくれたんだ……ありがとう」
「なんか、恋人意識するって恥ずかしいね」

 由希くんの頬が赤く染まる。

――幸せだなあ、この時間。

 自然と笑みが溢れてくる。笑うのが苦手だけど、由希くんの前でだけは笑顔になれる。由希くんが本当に大好きだ。

 アパートに着くと、由希くんはスイカを家の中に入れて再び外に出てきた。

「イチゴ、どの辺が良いかな?」と、由希くんに尋ねながら畑からはみ出たところの、ミニトマトの前にイチゴの鉢を置いてみた。

「そこいいね、律くんはセンスがあるよね」
「ありがとう」
「由希くんに褒められると、照れる……」
「律くんが照れると僕も照れちゃうな」

 由希くんは照れた様子を見せながらスマホで畑の写真を撮った。

「そういえばさっきおばあちゃんから教えてもらったんだけどね、イチゴの味ってトマト……」

 由希くんが言葉を途中で止めて、ハッとして目を見開いた。

「由希くん、どうしたの?」
「あ、いや、なんでもない。僕、分かったかも……」

 イチゴがトマト?

 俺は何も分からなくてもどかしい。気になりすぎるけれど、楽しそうだからいいかと思うようにしながら、じっと野菜や花に話しかける由希くんを見つめていた。

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