【ピュア青春BL】幼なじみの君と、ずっとミニトマトを育てたい。
ゆるくなっていた緊張感が再び湧き、少し震えだす僕の唇。僕は、フォークにケーキのイチゴを刺す。
「ねぇ、律くん」
「ん?」
「恋人らしいこと、していい?」
「えっ?」
律くんは動揺したのか、ビクッと肩を震わせる。僕自身も大胆な発言だなと思った。
「あのね、そんな大胆なこととかではなくて」
「い、いや……由希くんのことだから大胆なことするとかは思っていないよ。で、何してくれるの?」
「とりあえず、目を閉じて?」
「うん、分かった」
素直に従ってくれる律くん。
あぁ、少女漫画で見たことのある会話になっている。自分の発言に照れてきた。目を閉じている律くんも王子の寝顔のように綺麗で、胸の奥がキュンと大きな音を立てる。美しい寝顔を眺めていると、漫画のような展開を想像してしまった。このままキスをしてふたりの距離が縮まる妄想を。正直、キスなんて全くしたくない!と言えば嘘になる。妄想を振り払い、ダミーのイチゴを刺していたフォークを手に持っていたが、そっとお皿に置く。事前に机の引き出しの中に隠してあったタッパを開けて、ミニトマトを手に取った。このミニトマトはただのミニトマトではない。砂糖をふんだんにまぶし、更にケーキの生クリームをつけたミニトマトだった。
「律くん、口を開けてください」
どんな反応をするのか――。
思い切り律くんの口の中にミニトマトを放り込んだ。律くんは一瞬動かなくなったけれど、口をモグモグさせてゴックンした。
「律くん、目を開けていいよ! 今、何を食べたのか、分かった? 美味しかった?」
「……美味しかったけど。食べたのは、イチ、ゴ?」
――丸々ミニトマトを美味しかったって、言ってくれた!
僕は気持ちが高まり全身がぶわっとなった。そう、作戦とは『ミニトマトに砂糖をまぶすとイチゴの味になるらしいから、律くんにイチゴだと思わせてミニトマトを食べさせてみよう』作戦だった。
「ブッブーです。正解は、ミニトマトでした! ミニトマトと砂糖を合わせるとイチゴの味になるらしくてね、律くんそれなら食べられるかなぁって思ったの」
作戦は成功して、いたずらっ子のような、いつもよりも高い声が出た。こんなに高い声が出るのかと、自分でも驚いた。
「トマトだったのか? 由希くんに騙された」
律くんはククッと普段出さない声で笑った。もしも美味しいって言わないで、騙したなと、嫌な顔をさせてしまったらどうしようとも考えたけれど、こうやって笑ってくれて。律くんの懐の広さを感じた。
「そしてね、あのね、実はこれは作戦で。ちょっと騙してしまったことは心残りだけど、律くんがミニトマトを丸ごと食べて美味しいって言ってくれたら伝えたいことがあってね……」
喉に言葉が詰まり、唾をゴクリと飲み込むと喉がンゴンゴしてきた。肝心な部分が言えない。
「ねぇ、律くん」
「ん?」
「恋人らしいこと、していい?」
「えっ?」
律くんは動揺したのか、ビクッと肩を震わせる。僕自身も大胆な発言だなと思った。
「あのね、そんな大胆なこととかではなくて」
「い、いや……由希くんのことだから大胆なことするとかは思っていないよ。で、何してくれるの?」
「とりあえず、目を閉じて?」
「うん、分かった」
素直に従ってくれる律くん。
あぁ、少女漫画で見たことのある会話になっている。自分の発言に照れてきた。目を閉じている律くんも王子の寝顔のように綺麗で、胸の奥がキュンと大きな音を立てる。美しい寝顔を眺めていると、漫画のような展開を想像してしまった。このままキスをしてふたりの距離が縮まる妄想を。正直、キスなんて全くしたくない!と言えば嘘になる。妄想を振り払い、ダミーのイチゴを刺していたフォークを手に持っていたが、そっとお皿に置く。事前に机の引き出しの中に隠してあったタッパを開けて、ミニトマトを手に取った。このミニトマトはただのミニトマトではない。砂糖をふんだんにまぶし、更にケーキの生クリームをつけたミニトマトだった。
「律くん、口を開けてください」
どんな反応をするのか――。
思い切り律くんの口の中にミニトマトを放り込んだ。律くんは一瞬動かなくなったけれど、口をモグモグさせてゴックンした。
「律くん、目を開けていいよ! 今、何を食べたのか、分かった? 美味しかった?」
「……美味しかったけど。食べたのは、イチ、ゴ?」
――丸々ミニトマトを美味しかったって、言ってくれた!
僕は気持ちが高まり全身がぶわっとなった。そう、作戦とは『ミニトマトに砂糖をまぶすとイチゴの味になるらしいから、律くんにイチゴだと思わせてミニトマトを食べさせてみよう』作戦だった。
「ブッブーです。正解は、ミニトマトでした! ミニトマトと砂糖を合わせるとイチゴの味になるらしくてね、律くんそれなら食べられるかなぁって思ったの」
作戦は成功して、いたずらっ子のような、いつもよりも高い声が出た。こんなに高い声が出るのかと、自分でも驚いた。
「トマトだったのか? 由希くんに騙された」
律くんはククッと普段出さない声で笑った。もしも美味しいって言わないで、騙したなと、嫌な顔をさせてしまったらどうしようとも考えたけれど、こうやって笑ってくれて。律くんの懐の広さを感じた。
「そしてね、あのね、実はこれは作戦で。ちょっと騙してしまったことは心残りだけど、律くんがミニトマトを丸ごと食べて美味しいって言ってくれたら伝えたいことがあってね……」
喉に言葉が詰まり、唾をゴクリと飲み込むと喉がンゴンゴしてきた。肝心な部分が言えない。