幼馴染に彼女ができたけどなんで私が嫉妬されてるの?
…ン……-ン…。

ん?

…ンポーン。

なんだ?

ピンポーン。

これはインターフォンの音?

どうやらオレは寝ていたようで、インターフォンの音で目覚めた。
父ちゃんか?
時計を見たけど、まだ10時。
父ちゃんの帰宅時間じゃない。

ピンポーン。

まだ鳴るインターフォン。
オレは仕方なく立ち上がり、モニターを確認した。
そして、寝惚けていた頭が一気に覚めた。

「沙菜!?」

玄関まで走った。
玄関を開けると、少しビックリしたような顔で沙菜が立っていた。

「どうしたんだよ」

慌てて動揺を隠す。

「こんばんわ」

沙菜は他人行儀に挨拶した。

「うちの両親が、蓮が一人だろうから呼んで来いって。年越しそば、蓮の分まで作ったから」

「ああ…」

業務連絡のような沙菜。
表情から、オレに断ってほしいと思っていることがすぐわかった。

「ごめん、もうすぐ父ちゃん帰って来るから」

「そっか。じゃあそう伝える。良いお年を」

「あ、沙菜っ!」

くるりとオレに背を向けた沙菜を、反射的に呼び止めてしまった。

「なに?」

背を向けたまま、それでも沙菜は立ち止まってくれた。

「えーと…、沙菜の父ちゃん母ちゃんにありがとうって言っといて」

「うん」

「それからっ」

それから、えーと、えーと…。
沙菜を引き止めたくて仕方ないのに、次の言葉が浮かばない。
沙菜が怪訝そうに振り向いてオレを見た。
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