幼馴染に彼女ができたけどなんで私が嫉妬されてるの?
ピンポーン。

夕方、ついにインターフォンが鳴った。
ガバっと起き上がり、モニターも確認せず、玄関のドアを開けた。
やっぱり、沙菜だ。

「あ…、これ。お母さんが持て行けって」

挨拶もせず、沙菜はおせち料理が乗った大き目の皿をオレに差し出した。

「サンキュー」

素直に受け取る。
そっけない沙菜。

「お母さんもお父さんも、うちに来たらって言ってるけど」

「沙菜は?」

「え…?」

「沙菜はオレが行った方がいいと思うか?」

「どうしてそんな聞き方するの?」

ずっとオレを見なかった沙菜が、悲しそうな瞳でオレを見つめた。
どうしてそんな顔をするのかわからず、何も言えない。

「蓮の好きにしたらいいと思うから」

それだけ言って、沙菜は帰ってしまった。

なんでだ?
どうしてだ?
昨日、今日、沙菜の態度の意味がわからない。
オレの質問に、沙菜から答えが返って来ない
逆に、問い返される。
とても傷ついている顔で。

どうしてそんな顔をするんだ?
確かにオレは無理矢理キスして、酷いことを言ったかもしれない。
だけど、沙菜にはもう木田がいて、幸せなはずなのに。
オレがしてしまったことは、いつまでも許してもらえないってことなのか?
そこまでオレは沙菜を傷つけたのか?

だけど、オレだって沙菜に傷つけられた。
最初に変わったのはオレかもしれない。
でも、最初に拒否したのは沙菜の方だ。
オレだって…苦しいんだ…。
もう、どうしたらいいのかわかんねーよ。
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