タイプではありませんが



「理由は?」
 告白の返事をした楓に星野は尋ねる。
「ホッシーのこと仕事以外で知らないし」
「これから知ってよ」
「好きじゃないし」
「好きにさせる自信あるし」
「休みの日は家にいたいし」
「お家デートも好きだよ、俺」
「今体力ないし」
「知ってるよ」
「趣味あわないし」
「合わなくてもいいじゃん」
「ホッシーモテるし他の子がいいと思うし」
「……怒るぞ」
「ごめん、取り消す」
「ええよ」
 お国訛りで答えながらフッと笑って星野は楓を許す。

「で、そんなもん?断る理由は」
「……」
 同じ営業として、同期としてそれなりに長く付き合っている。
 誤魔化しの理由じゃ納得はしない。
 でも言いたくない。それは楓のなけなしのプライドにかかわるからだ。

「……タイプじゃない」
 考えた末、二つ目の理由を告げる。
 星野は一瞬驚いた様子を見せた。ポーカーフェイスの彼にしては珍しい。
 予想外の答えだったのだろう。そして頭が回る星野のことだ。なぜ楓が本当の理由を言わなかったことも瞬時に察したはずだ。
 そして、楓が強がっていることも。
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