タイプではありませんが
「どうした、難しい顔して」
課長に声をかけられて楓は慌てて顔を上げた。
「いえ。……昨日おかずを作りすぎて、夜も同じメニューなので何かアレンジできないか考えていました」
咄嗟に出たいいわけだ。嘘ではない。だが、今考えていたのは別のことだ。
だが、課長はその場しのぎの楓の言い分をまるっと信じてくれたようだ。
「確かにきんぴらって余るよな。……そうだ、体調はどうだ?」
「お陰様で。少しずつですが数値は下がって来ています。気付くのが遅かった分、中々頑固みたいですけど」
「大変だな」
同情した目を向けてくる課長に楓は笑いながら答えた。
「ええ。注射キライなのに二週間に一回血取られて。拷問です!」
重たい雰囲気を吹き飛ばすように答えた楓の気持ちがわからない男ではない。
課長もその話に乗っかる。
「元気が有り余ってたんだから、それくらいで丁度いいんじゃないか」
何かあれば相談しろよ、と言い残し去っていく課長の背中を見送って、楓はスマホを手に取った。
答えは出た。後は早く伝えるだけだ。
連絡アプリの星野とのトーク画面を開き、楓はメッセージを送った。