タイプではありませんが


「あっ」
 楓は一つ思い当たる。オブラートに包むことなく星野にぶつけた。
「いつも手に入れるのは二番目の選択肢なんだ」
「正解」
 流石だね、と星野はいい、持っていた本を棚に戻した。
「俺ってさ、あんまり本気になったことがないんだよね。いつも八割の力で手に入れたものをみんな褒めてくれるんだ。高校もそう。大学もそう。就職先も。「この程度でいいだろ」ってどこか自分で上限を設定して、そこそこのものを手に入れて来て。大学の時に取った資格だって半分暇つぶしだし。限界まで努力していないから、届かなかったことに悔しいとか次は、って気持ちがなくて、それで満足しちゃうんだ」
 ふっと息を吐く。自嘲気味だった顔が少し緩む。
「最初は仕事だってそんな意識だった。適当にしていた訳じゃないけど、全力でしなくてもそこそこ出来たから」
「……それって、イヤミ?」
「違う違う」
 星野は首を振りながら否定する。
< 111 / 166 >

この作品をシェア

pagetop