タイプではありませんが

14.転換期


「はぁ~」
 電車の乗車口でついた楓のため息は予想外に大きかったようだ。
 前に並んでいた女性が咎めるような目で振り向く。
 軽く頭を下げると、楓は今度は小さく息を吐いた。
 最近、気づいたらよくため息をついている。

 原因は星野だ。
 星野と自分の差につい口について出てしまうのだ。
 星野は夢に向かって追いかけている。
 じゃあ私は?私の夢は目標は何だろう?、と。

 楓は何度も自問自答する。
 営業に固執しないで、今できることを最大限に頑張ろうと決意した次の日には、やっぱり営業がしたいと考え直す。

 星野は前に進んでいるのに。
 楓は同じところで停滞をしている。
 そう思えば思うほど、星野と会うのもだんだん億劫になってくる。

 会えば楽しい。でも会った後は苦しい。
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