タイプではありませんが


「そういうとこ」
「え?」
「誰も見てなくても手合わせてキチンと「いただきます」言えるとこ、好きだよ」
 赤面する楓に星野は笑う。
「真っ赤やん。かわいい」
「……うるさいよ」
 これ以上言うと食事が進まないと思ったのだろう。はいはい、と軽く返事をして星野は口をつぐんだ。

 黙っていても星野からの視線は痛いほど感じる。その視線に混じっているのは、同期、同僚といったのものではなく、特別な感情。
 隠すことがなくなったからか、それとも今まで楓が気づかなかっただけなのか。
 瞳の奥にある感情を受け止めきれず、楓はスッと視線を落とした。
 黙々とオムライスを口に運ぶ。
 いつも話を振る星野が黙ると逆にソワソワする。
 それでも楓にはどうやって口火を切ったらいいのか分からなかった。
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