タイプではありませんが
「結構前から好きだったんだ」
ポツリと星野が呟いた。顔を上げた楓。
もう彼はペロリとハンバーグを平らげていた。
星野は少しだけ眉間にシワを寄せ、困った顔をしていた。
いつも本音を笑顔で隠す彼の、表情の乱れ。初めて見る顔に楓は戸惑った。
「前の彼氏と結婚間近って聞いていたから諦めていたんだ。そのままゴールインするなら言うつもりもなかった。だけど……」
一旦、言葉を切る。言いあぐねて、そしてやっと出た言葉。
「真剣に考えてくれん?「タイプじゃない」じゃなくって。同僚でもなく、同期でもなく。プライベートも知ってさ。色んな角度から星野篤郎を見た上で判断してよ。全部見た結果好きになれんかったら納得はできるからさ」
星野の本音。言葉の真摯さ。その強さに気圧された楓。
「わかった。ちゃんと考える」
星野の少し不思議な言い回しがひっかかったが、言葉に裏はないと判断した楓は星野に頷いた。
ありがとう、と微笑んだ星野はいつもの彼に戻っていた。
気づかれないようにほうっとため息をついた楓は、今度は自分が頭を抱えることになるのだった。