タイプではありませんが

 楓も営業をしていた時は、補佐がいてくれたら、と何度も思った経験から、営業が使えるような仕事を心がけていた。
 だからそこを評価してくれたのは嬉しい。けど……。
「なら、何故でしょうか?」
 部長から話してきているのだ。訊ねても問題ないだろう。
 楓の問いかけに部長は端的に答えた。

「女だからだ」
「へ?」
 思わず間抜けな声が出る。
 まさか性別?今の世の中で?どういうことだ?
 部長の言葉に楓は混乱する。

「絶対人事とかに言うなよ、俺の首が飛ぶ」
 首のところに手刀を当てる部長に楓の表情は少し緩む。
 きっとこの後の話は楓にとって好ましくはないだろう。
 だけど、部長が場を和ませながら敢えて伝えようとしてくれている。
 楓は深呼吸をする。
 何を言われても受け入れようと。
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