タイプではありませんが
女性の活躍の場という社会全体のニーズもあるしな、と部長は付け加える。
「十年後、山下が中堅どころになった時に通用する力をつけろ。今の実績は星野も山下も申し分ない。不足があるとすれば、星野は人に任せることができるが、山下は自分でやってしまう。それでは管理職になった時にキャパオーバーになる。だから今のままでは実績を残しても上には上がれない。相手の力量を測って上手く仕事を振るのも、自分を楽にする一つの方法だ」
「……はい」
部長の言葉が耳に痛い。今は素直に受け止められない。だけど、部長は……。
「部長、ありがとうございます」
「ん?何が?」
「男性社員と同じテーブルで評価をしていただき、その上で今の私に足りないもを指導していただいて」
「それが俺の仕事だ」
きっぱりと部長は言い切る。
「山下を生かしきれない、今の部署に残せないのは俺の力不足だ。だか、一年先、三年先、十年先にもっと男も女も、星野も山下も働きやすい部署にする。その時に、俺が自信を持って山下を戻せるように力をつけてくれ」
「……っ。はい」
目に力を入れていたから涙は零れなかったけれど、返事する声は少しだけ湿っぽくなってしまった。