タイプではありませんが
15.恋と依存
部長から話があった一週間後、正式に辞令が出る。
星野の昇進と楓の異動。
楓が病気で事務に途中から移ったといえども同期で同じような実績だった二人の人事辞令。
周りの受け止め方はほぼ同じだった。星野は出世、楓は左遷。
だから、星野には「すごいですね。おめでとうございます」。
楓には「残念ですね。がんばってください」。
少数の親しい人には軽く説明したけれど、それ以外の人の労るような目。
楓も自分のことでなかったら同じように捉えていたかもしれない
だから「ありがとう」と答える。
けど、残念と言われるのが重なると、何故だろう。
だんだん卑屈になってくるのだ。
称賛され、出世する星野。
途中でレールを外れる自分。
納得している異動のハズなのに、周りの声に落ち込んでしまう。
バセドウ病の数値も安定していない。引き継ぎもあって忙しい。
必要以上に感情が浮き沈む。それに振り回される。
唯一の救いは、楓以上に忙しくしている星野と会う時間がなくなったことだ。
星野と会っていた時間、ゆっくり考えることができる。
どっちみち、一人で考えている限り、堂々巡りは変わらないのだけど。