タイプではありませんが

3.憂鬱な自分の体


 帰ってきた楓はマグカップに水を注ぎ、キッチンのテーブルにある薬袋を手に取った。
 メインの薬が三錠、他の薬が二種類一錠ずつ。合計五錠を口に含んで水で流し込む。
 朝昼晩、一日三回。二週間に一回の通院。
 三ヶ月前までバリバリ営業として働いていた楓にとって、頭で理解していても今の現状は心が追いつかないのだ。

 風呂を沸かし、乳白色の入浴剤を入れる。フワッとしたヒノキの香りが漂った。
 裸になり体重計に乗る。三ヶ月前と比べて五キロ増えていた。
 病気の影響で一時痩せやすくなっていた体は、薬を飲み始めてから元の代謝に戻りつつあった。わかっていてもメキメキ増える体重にショックを受けた楓は気にしない、と独り言をいい、湯船に浸かる。
 温かいお湯に包まれると、どうしても頭によぎる自分の病。


 甲状腺疾患。バセドウ病。


 これが楓に診断された病名。
 芸能人やサッカー選手も病気を公表しているため、聞いたことはあった。
 ただ、まさか自分がなるとは思ってもみなかった。
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