タイプではありませんが
※
店を出て並んで駅まで歩く二人の間は空いている。
数ヶ月で縮まった距離がまた元に戻る。
それだけなのに、楓はとてつもない寂しさに襲われていた。
それが何なのか。
わかっていたが口には出さない。出せない。
ギュッと手に持った紙袋を握りしめる。
星野から渡された時計だ。
「新しい部署に行く餞別としてプレゼントさせてよ。女物だし、俺の部屋に置いていたら忘れられないから」
金額も張るものだし、と拒む楓もそう言われると受け取らざるを得ない。
重いものを受け取った気分になる。