タイプではありませんが
17.贅沢
どこまでこの男は気遣いができるんだ。
星野から渡されたプレゼントの時計の紙袋に封筒が入っているのに気づいたのは、部署を異動してからだ。
すぐに袋を開けることは出来なかった。自分から断ったのに。
いや、違う。
楓が伝えないといけなかった付き合いの終わりも、空気を察した星野が言った。
時計と一緒に入っていた封筒もそうだ。
『新しい部署での活躍を楽しみにしているよ』
楓が気を回さないようにか、それとも今日振られることを覚悟していたのか。プロポーズのことは一切書いていない。
星野らしい気遣いに楓はなぜかモヤるのだ。
気を回しすぎるから。先回りして傷つかないようにしてくれる。
嬉しいけれど、星野の本音はどこにあったのだろうか。
一緒に過ごしている間はいつも優しかった。いつも楓のことを考えてくれた。優先してくれていた。