タイプではありませんが




「あれ、ホッシーだけ?」
 いつものように同期で飲む時に使用するタカノについた楓は、そこにいるのが星野だけと気付いた瞬間、Uターンしたくなった。
「そっ。俺だけ」
 カウンターの端で先にビールを飲んでいた星野は、自分の隣の椅子をポンポンと叩く。
 そこまでされると帰るわけにはいかない。

 同期だもん、飲むのは普通だし。前は二人でよく飲んでいたし。
 あの時と同じ場所。同じシチュエーション。同じ仕事帰りの金曜日。意識しないわけじゃない。
でも星野は忘れてくれているはず。私さえ普通にしておけば大丈夫だ。

 楓は自分に言い訳するように心の中で呟いて星野の隣に座る。
「いつものでいい?」
 楓が頷いたのを確認すると星野はビール二つといくつかのツマミを頼むのだった。
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