タイプではありませんが
甲状腺ホルモンは別名元気ホルモンと呼ばれる。バセドウ病はそのホルモンが過剰に出る病気だ。
大量に出ていたホルモンを薬で抑える。症状としては良くなっているのに、楓は治療が進むにつれ何ともいえない倦怠感を実感していた。
今まで過剰なホルモンに慣れていた体だ。薬で急速に分泌が抑えられたホルモン量は、すぐには楓の体に適応しない。
薬飲んでいないときのほうが元気だった。
何度もそう思った。
休みになると体が貼り付けにされたようにベッドから起き上がれない。
二週間に一度病院に行き、採血をする。
ホルモンのお陰で良くなりすぎた代謝が元に戻ったが食事量は変わらないから太る。
ホルモンによって気分の浮き沈みが激しくなる。
仕方ない、とわかってはいる。
会社にもありがたいくらいに配慮してもらっている。感謝をしないといけない。
だけど、この病気に振り回されているし、悔しい気持ちは拭えない。
「あー、ダメだ」
落ちる。ネガティブの沼に。
私、こんなに後ろ向きじゃなかったのに。ホルモンのせいだ。
わかっていてももう止められない。
一人しかいないのに、楓は風呂で押し殺すようにひとしきり泣いたのだった。