タイプではありませんが



 雨の日の病院は、憂鬱だ。
 甲状腺専門病院で、限られた病気の人しかないのに、かなり混んでいるのだ。
 普段でも嫌になるくらいの人の多さなのに雨の日は待合室にジメッとした空気もプラスされる。
 季節を進める冷たい雨なら尚更だ。

 ここにいると、世の中には甲状腺を患っている人が多いことに気づく。
 自分もその一人。
 話しかけはしないが同士のように感じる人々に慰められるような、切ないような気持ちになるのは、雨のせいなのか?

 何度目かのため息をついた楓は、携帯が光っているのに気づく。


『終わったら連絡して。この辺久々だから少し散策して待ってる』
 星野からのメッセージに短く了解とだけ返事をして携帯をしまった。
 彼と会うのは憂鬱だ。でも、ちゃんと考えると返事したから。
 休みの日に誘われた時、通院を理由に一旦断った楓に星野は待ってると言ったのだ。
 楓としても別の日に星野と会うためだけにわざわざ出掛けるのは億劫だ。少々面倒くさくても、外出したついでに会えるほうが都合がいい。
 病院が終わったらランチでも、という食い下がる星野に楓は今度はわかったと頷いたのだった。
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