タイプではありませんが


「ありがとう」
 何に対してのお礼か、気付いたのだろう。照れるように笑って、どういたしましてと答える。
「バレたか」
「それくらいはね。ちょっと前までホッシーの近いところで仕事っぷりは見てたもん。同じ営業として」

 同じ営業として。

 自分で言って自分で傷ついた。
 今の楓は、そこに立っていない。
 健康な体。知識。
 星野が羨ましいくらい眩しく見える。

「どうした?」
 突然黙りこくった楓に星野が声をかける。
「なんでもないよ」
 卑屈になってしまう自分を追い払うように、ことさら明るく答えた。
 星野は気づいていたのだろうか。それとも気づかなかったのか。気づいていながら気づかないフリをしたのか。

 それ以降、食事の最中も仕事の話題は出なかった。

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