タイプではありませんが




 家に帰った楓はソファに座りこんだ。
 病院は疲れた。相変わらずの激混みだったし。
 毎回採血があるのもツラいところだ。
 だが、その後の星野との過ごした時間は正直言って楽しかった。

 フラレたばかりなのに。
 もう男なんてコリゴリ。せめて病気が安定するまでは。
 その気持ちが吹き飛ぶくらいには有意義な時間だった。

 星野とは元々感性は似ているのだ。
 同期で営業のよしみで良く一緒に研修も受けたし、気楽に相談もできる。
 だが、あくまで会社での友人。会社終わりに飲みに行くことはあったが、プライベートで会ったのは今日が初めてだった。

 仕事の話を一切抜きで過ごした時間。話題は尽きることはなかった。


 だけど、星野に男は感じない。流石に手をつなぐ、と聞かれたときは恥ずかしさが勝ったが、駅で手が触れた時にも、当たった、と思っただけだ。
 恋をしているみたいにドキドキすることも、心がときめくこともない。
 そもそも楓のタイプとは違うのだ。
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