タイプではありませんが



 映画館の前で待ち合わせた。
 クリスマス前のごった返した駅を抜け、人混みに紛れるようにして待ち合わせ場所に行くと、もう星野は楓を待っていた。
「早いね。待たせてごめんね」
「いや、俺も今ついたとこ」
そう言うと、星野はペコリと頭を下げた。
「気乗りしてなかったのに、今日来てくれてありがとう」
 思い直して今日会うのを断ろうとした楓に星野は既にチケットを買っていると言って説き伏せたのだ。
「いや、気乗りしなかった訳ではなくて……」
 病院もない日にわざわざ会うのに抵抗があっただけだ。

 だって、デートみたいだもの。

 言葉を飲み込んだ楓に星野は、ポップコーン食べる? と聞きながら適当にフードを注文し、連れ立ってスクリーンへ向かう。
 公開から日数が経っているからか、街に人が多い割に空いている。
 真ん中より少し上の列に座り、予告を見ながら他愛もない会話をしながら上映を待つ。
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