タイプではありませんが
「……行かない」
星野は惜しい、と言って笑った。
「もう少しナチュラルに言えば言質取れたのに。惜しかった」
憮然としてコーヒーを口に運んだ楓に星野は問いを重ねる。
「そういえばこないだのキス、嫌じゃなかったんだ?」
含んだばかりのコーヒーが気管に入って激しくむせた。
大丈夫か? といいながら背中をさすろうとする星野を手で押し留めて楓は何とか息を整える。
大丈夫じゃないよ。誰のせいだまったく。
突然ぶっこまれた質問に楓が星野の顔を見れるようになるまでしばらく時間がかかった。
顔を上げた楓のことを星野はニコニコと見つめている。
「俺、言ったよね。「嫌なら避けて」って。キスしたってことは嫌じゃなかったってことでいいんよな?」
その時の自分の気持ちを言いあぐねた末に楓は一言発した。
「無効で」
「え?」
「突然過ぎて避けるとか思いつかなかっただけ!だから無効だ、無効!」
嘘だ。避けようと思えば充分避けれた。星野もそれがわかっているのか、楓の言い逃れは受け付けない。
「そんなん認められると思う?」
からかい顔で見てくる星野だったが、楓は食い下がる。
「ちゃんとした誕生日プレゼントあげるから!無かったことにして!」
「やだ」
「そこをなんとか」
楓は手を合わせて星野にお願いをする。