タイプではありませんが
「ただいま」
タイミングよく兄の柊が帰って来なかったら、楓は母に言いたくない言葉を発してしまうところだった。
「あれ、もう帰ってきたの?」
「俺だけね。酒と親父が寿司食いたいっていうから買ってきた」
チラッと母と楓を見比べて、柊は楓の頭をはたいた。
「痛っ。何するのよ」
「別に」
兄は気付いたのだろう、楓の表情から。今帰ってきたのもきっと母と楓を二人きりにしない配慮だ。
「楓、手伝って。まだ車に荷物あるから」
案の定、楓を母から引き放す。柊の助けに楓はありがたく乗っかった。
「ちょうどいいタイミングだったな」
車のトランクからビールのケースを取り出し、ニヤリと柊は笑った。楓は助手席の寿司を持つ。
認めるのはシャクだが助かったのは事実なので素直に礼を述べる。