タイプではありませんが

「あ、そうなの?よかった、俺あいつ好きじゃなかったんだよね」
「え?」
「少ししか会っていないけど、お前の体気遣うことも、いつ退院するかも聞いてなかったじゃん。気づいてないのか?」
 全然気づかなかった。仕事で忙しい中、まさか見舞いに来てくれると思っていなかったから会えるだけで嬉しかったのだ。
 返事をしない楓に柊は呆れたようだ。
「お前、男見る目悪すぎ。いつも同じタイプで失敗するじゃん」
「そんなこと……」
「あるだろ。オフクロじゃないけど、哲みたいな男にしておけよ」
 やっぱり母との会話を聞いていたのか。楓は答えを見つけれない。黙って車を走らせる。
「まぁ、楓の場合、好きなタイプじゃないとダメっていうのもあるんだろうけど。……気をつけろよ、好きすぎて男に尽くすのはいいけど、やりすぎると大事にされないぞ」 
 自分の男を見る目が良くないのは自覚している。だけど、こうもズバリと指摘されると煩わしい。
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