タイプではありませんが
長い間想いを寄せているのを知っている二人は顔を見合わせ、頷いた。
琴美から合図を受け取った田中は、押せ押せとばかりに畳みかける。
「うん。本気で山下が断っていたら、星野も引き下がったんだよ。観察力が優れているアイツが山下の考えを読み取らないわけ無いだろ? だってあの星野だよ?」
あの営業の星野がそんな絶好の機会、見逃すはずないだろ、と田中は笑った。
「それでも諦められずアタックしてるんだから。せっかくなんだから星野と腹を割って話しなよ。こじれても、今なら関係が悪化した同期、で済むんだし」
琴美も口を挟む。
励まされているのかいないのか判断に迷う言葉だったが。
「星野はしつこいぞ。伊達に長い間惚れていないから」
追い討ちをかけるような田中の言葉。
どちらかというと穏やかな田中の珍しく強い物言いに楓は頷きそうになって、ふと気づいた。
「ホッシーって一年前くらい彼女いたよね? 確か」
琴美と田中は顔を見合わせた。
「まぁ……いたような、いなかったような」
「その辺りのことは星野に……」
さすが夫婦だ。こういうときも息がぴったり。楓が食い下がってものらりくらりと話を濁された。
タイミングよく目覚めた子どもに助かったという表情をしながら、二人は話を切り上げる。
「ちゃんと星野と話しなよ」
そう言葉を添えて。
二人にまでバレているなら、星野の本心を確認するのが無難だろう。
楓は星野との気が重い会話のことを考え、がっくりと肩を落としたのだった。