タイプではありませんが
9.嫉妬
話をしないと。
そう決意したのはいいが、チャンスはなかなか来なかった。
休みの終わりに体を崩した楓は、地元から帰ってきた星野と会えずじまいだったからだ。
仕事が始まれば年末年始休暇で溜まっていた業務の処理に追われる。
そうこうしている内にあっという間に半月が過ぎていく。
そこまで時間が経つと、一周回って話すことが面倒になる。
「まだ話してないのか!?」
たまたま社員食堂であった田中に呆れられたのは一月の終わりに差し掛かろうとしている頃だった。
「タイミング逃して……」
「で、めんどくなった、と」
楓の濁した言葉を読む田中に苦笑いするしかない。
星野から「会いたい」って連絡は来ていた。
それをことごとく断っていたのは楓の方。
正月の勢いのまま聞けたら良かったのに、会社が始まって日常に戻って。
当たり前に営業として活躍している星野を見ると、どうしても悔しい気持ちが勝ってしまう。