タイプではありませんが
こんな状態で会いたくない。
イライラとしたままで会うと感情のまま気持ちをぶつけてしまう。
きっと思ってもみないこと――私を好きだったのに元カノと付き合ったの?とか――を口走ってしまいそうになる。
それなら気持ちが落ち着くまで会わないままやり過ごす。
そのモヤモヤを放置すればするほど、星野のことを考える時間は増えていたことに、楓はまだ気づいていなかった。
急に複雑な表情を浮かべ黙りこくった楓に田中ははぁー、と深くため息ついた。
馬鹿だな、というセリフを言いかけ、田中は楓の背中越しに星野を見つけた。
星野も田中に、というより彼の前に座っている楓に気づいたようだ。
こっち、というように手招き、田中は席を経った。
「もう食い終わったの?」
振り向かなくても分かる。この声は星野だ。
「俺はね。山下はまだだろ?星野、席変わるわ。……ちゃんと早いうちに話せよ」
じゃ、と言い残して気を利かせるようにそそくさと去る田中と入れ違いに席に座った星野は、手を合わせて小声で「いただきます」といい、箸を手に取った。
あれっ? ホッシーにこんな習慣あったっけ? と首を傾げる楓に星野はちょっぴり照れくさそうに笑う。
「山下の真似。思い出した時しかしてないけどさ」
手を合わせていただきますをする。そんなところが好きと言われたことを思い出して、楓はドギマギする。