タイプではありませんが


 それでも。

 楓は営業でいたかった。
 自分一人で売上を上げていたと驕るつもりはない。今しているような営業事務の人や企画や広報、総務や経理やシステム部、その他の内勤の人の協力があってこそだ。
 取引先のニーズを聞いて、自社でどこまでできるのか。社内の支えてくれる部署と相談をして、何かできることがないか飛び回る。
 究極の御用聞きだ。
 だけど、楓はその仕事をこよなく愛していた。
人と人の縁を繋ぎ、他部署の発想を聞き、どうすれば自社の製品が売れるのか、どうしたら自分の会社のファンでいてくれるか。
 常にアンテナを張って考えていた。すぐに結果が出ないことも多かった。
 辞めようと思ったことも一度や二度ではない。

 どうしたら、もっと良い提案ができるのか。自社が選ばれ続けるのか。
 楓が商談してうまくいかなかった取引先。
 上司や先輩、そして星野が再度アタックすると成約する。
 悔しかった。
 売上がいい営業はどうやって結果を出しているのか。
 真似して、考えて、行動して。
 一年、二年、泥臭く行動をすると、結果がついてきた。
 結果が出ると、どんどん楽しくなってきた。
< 76 / 166 >

この作品をシェア

pagetop