タイプではありませんが


 まだまだ、うちの会社、いいところ沢山あるの。
 こんなこともできるの。うちのサポート、すごいの。
 もっと知ってよ。もっと好きになって。
 アピールしたいことは山程あるのに、今は病で最前線で戦えないし、治療が進んだとしても営業として戻れる保証はないのだ。

 星野がずるい。
 楓だってそこにい続けたかったのに。

「よかった。じゃあ、明日約束な!」
 悔しい気持ちが先行し、話しかけてくる星野に生返事をしていた楓が安請け合いしたのに気づいた時には後の祭りだった。
「え?なんのこと?」
 喜ぶ星野に尋ねる。OKって返事したじゃん、と言いながらも星野は丁寧に教えてくれる。
「だから商談終わったら山下の家寄るって言ったの。そっちの方なんだ、明日」
「え!?困るって」
「さっきOKしたじゃん」
「……覚えてない」
「ボーっとして人の話、ちゃんと聞かないからだよ」
 話を聞いていないことはわかっていたように、不敵な笑みを浮かべる星野に食い下がるが聞き入れる気はないようだ。
「でも……」
 食い下がる楓に星野はバツが悪そうな顔をして、反論できない言葉を投げる。
「山下……取引先と話しているとき、生返事する?」
< 77 / 166 >

この作品をシェア

pagetop