タイプではありませんが
背筋がゾクッとする。その感覚にわずかに開いた楓の歯の隙間に舌がねじ込まれる。
捉えられるのはあっという間。
楓の舌を見つけると、躊躇することなく絡める。
「うふぅ……んっ……」
何度も何度も舌で口の中を犯される。
背筋のゾクゾクは、全身に広がっていく。
足に力が入らない。星野の腕の支えが無ければその場に崩れ落ちそうになる。
「はっ……んぅ」
一瞬離れたと思ったらまた角度を変えて塞がれて、舌を追いかけられる。
「ほしっ……んっ」
名前を呼ぶ隙すら与えてくれない。
いつの間にか抱きしめられていた。
キスとキスの間に、山下、と耳に囁やき、好きだと何度も呟く星野の腕。
このまま流されてもいいと思ったのに。
楓は腰のあたりで星野の滾りを感じた瞬間。
はっきり思い出してしまったのだ。
星野の前の彼女は、小柄で女性らしくて楓とは似つかない人だったことを。
次の瞬間、楓は星野を突き飛ばしていた。
「……山下」
切ない気持ちと男の欲を滲ませた複雑な顔をする星野。
楓はその顔から逃れるように路地を出ると人にぶつからない速度で小走りに駅まで向かって、来た電車に飛び乗った。
閉まったドアに手をつく。そうしないとズルズルとしゃがみこみそうだったから。
何から考えればいいのかわからない。
頭の中に色んなことが浮かんでは消える。
コートのポケットで携帯がブルブル震える。
多分星野からだろう。
だけどメッセージを確認する気力は今は湧かなかった。