タイプではありませんが

 ヤツはモテる。
 非常にモテる。
 端正な顔立ちに爽やかな笑顔。楓にはよく分からないが、言葉遣いに時折四国の訛りが混じるのが可愛いらしい。
 身長も楓基準で考えたらほぼ変わらないが百七十センチは超えてから、低い方ではない。
 そして何よりたちが悪いのは、星野は天然たらしなのだ。
 姉が三人いる末っ子長男だからか、女性の喜ぶことはよーく知っている。
 自然とレディファーストが出来る彼は社内外の女性のみならず、飲みに行った先でも逆ナンされるくらいおモテになるのだ。

 確かにずっと片思いしている人がいるとは聞いていた。
 それでもいい、と言ってくる女性と付き合っていたと聞いたことはあったが、今は特定の彼女はいないはず。
 まさか自分がその片思いの相手だったとは……。
 全然気づかなかった。
 そりゃあ、同期で一番仲がよかった琴美に「鈍感!」と怒られるはずだ。

 頭を抱えたくなった楓はマウスから左手を離して、食事に集中することにした。
 黙々と口に運ぶ一方で考え込んでいたのだろう。
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