タイプではありませんが



 楓ははぁ~と深く息を吐く。

 あんたは変態か!と自身に突っ込む声も虚しい。
 散々星野のことを突っぱねていたのに、キス一つで転がされる。

「惚れている?」
 いや、違う。……違うと信じたい。いや、万が一惚れているとしても付き合うのは……。
 同僚だから、ある程度距離があるから制御できているのだ。
 それでも営業で活躍している星野が羨ましいのに。
 付き合って、今日みたいに休日出勤していて。
 バリバリ成績を上げていくのを隣で笑って見ていられるほど、楓の心は広くない。

 悩みを聞いてくれるいい同僚として連絡を取り合えて、二人で飲みにいったりできて、たまにあんな情熱的な目で見つめられて、気が向くのなら楓の体の熱を慰めてくれたら理想的なのに。

 こんな黒い感情、星野には知られたくない。
 でも、きっと。
「ホッシー、見逃してはくれないよね……」
 ため息と同時に吐き出した言葉を聞いていたのかいないのか。
 タイミングよく星野から着信が来るのだった。
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