タイプではありませんが




 星野がジャケットとネクタイを外して、楓が差し出したハンガーにそれらをかける。
 その間に楓はこたつ机の食器を片付けて、キッチンの電気ポットでお湯を沸かしていた。

「山下」
 星野が後ろに立つ気配がする。
「一つだけ教えて。……なんで昨日逃げたん?」
 楓は息を呑む。こんな早く聞かれるとは予想していなかった。

 答えはある。
 でも正直に答えたら、星野を好きって言っているようなものじゃないか。

 言いあぐねている楓に星野の質問は止まらない。
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