タイプではありませんが
「山下」
星野が真後ろに立つ気配がする。
「そんなに営業できないんが辛い?自分の気持ちを押し込めるくらい」
「そっ……んな……こと」
後ろから伸びてきた星野の手が楓のメガネを外す。
一気にボヤケた視界が暗くなる。
「ほら、今何も見えないから」
星野の手のひらが楓の両目を目隠ししたようだ。暗闇になると一層星野の気配が濃くなる。
「昨日、なんで途中で逃げたの?」
見えない中で聞く星野の声。
ど んな答えでも受け止める、というように穏やかな響き。
星野の手のひらで目元がじんわり温められる。
楓の頑な心をゆっくり溶かしていくように。
「教えて?」
ダメ押しのようにお願いする声に誘導されるように、楓は口を開いた。