タイプではありませんが


「……の元カノ」
「ん?」
「ホッシーの元カノって……私と真逆のタイプだったなぁって……」
「俺の元カノって誰?俺、長いこと彼女作ってないけど」
 驚いたように手のひらに力が入る。
 誤魔化している素振りはない。けれど確かにあの時彼女として紹介されたのだ。
「誰って……。あの小柄で可愛らしい子。一年くらい前に四人でご飯行った時に」
 一度だけ星野と彼女、楓と彼氏――今は元カレになったが――と飲みに行ったことがある。
 付き合った当初、本当に同僚か疑っていた元カレが星野に会わせろとしつこかったのだ。
 星野に相談して場をセッティングしてもらったのだ。
「……あぁ!」
 思い出したように声をあげた星野は、楓の目から手を離した。
「あの子は違うよ、付き合ってない」
「え?」
 楓の頭はクエスチョンだらけだ。反面、星野の声は心なしか弾んでいるように聞こえる。
「その子、結婚して子どももいるから。ってか、あれ、姉だし」
 どういうこと!?と楓の声にならない叫びが聞こえたかのように星野は説明する。
「あの時、付き合っている子いなかったから姉に頼んだの。彼女のフリしてって言ったらノリノリだったよ」
「お、お姉さん?」
「そ、一番下の姉」
 本当かどうか分からない。けど、振り向いた楓を捉えた星野は嘘をついていそうな感じではない。
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