嫌われているはずが、まさかの溺愛で脳外科医の尽くされ妻になりまして
「……いや、エプロン姿でお出迎えなんて新婚っぽいなと思って」

 まじまじと見られてハッとする。

 裾に控えめなフリルのついた小花柄のエプロン。せっかくだからと思って着用して調理していたのだが、取るのを忘れそのまま迎えに出てしまった。

「あの、私にはかわいすぎましたかね」

 急に恥ずかしくなり、エプロンの裾を掴んで俯く。

「これは……かわいすぎて困るな」

 ボソッと呟く声が聞こえた気がした。

「え、かわ……?」

 はっきり聞き取れず顔を上げると、とてもいい笑顔がこちらを見ている。

「いや、とてもよく似合ってるよ。これからも付けてほしい。癒されるから」

(ああ、これは、気を遣わせちゃってるな……)

 いたたまれなくなり、美琴は曖昧に笑って話題を変える。

「夕食、出来てますが召し上がりますか?」

「ありがとう。もらうよ……そうだ、美琴」

 遥臣は靴を脱ぎ、目の前に立った。

「今日実家に寄って父に話をした。俺たちの結婚、認めてもらったから」

「……よく、了承していただけましたね」
< 57 / 172 >

この作品をシェア

pagetop