最弱スキルで転生した俺、気づけば英雄になっていた。
「ひゃっほおぉぉぉい!! 森、だいばくはつ~~っ!!!」

アベルの叫びとともに、火花を散らす巨大な魔法陣が地面に展開された。
次の瞬間、爆裂する火球が空へと打ち上がる!

ズドン!!!

「え、ちょっ……えええええええっ!?待って、それ範囲広すぎない!?森燃えるだろ!!」

俺(クレム)は木陰で半泣きで叫ぶが、聞こえてないのかアベルはハイテンションのまま飛び跳ねていた。

「いっけぇ〜!《花火弾・ギガバースト》!!」
「名前からして花火じゃないだろそれ!!」

続いてネーヴェが静かに手を掲げる。

「静かに――燃え尽きなさい」

彼女の足元から氷の結晶がわき上がり、空中で形を変えて――

「《極寒雷槍・レイ・グランデ》」

ピシャァアアンッ!!!

氷の槍が空気を裂き、あっという間に森の半分が“冷凍保存”された。

「ちょっ、アベルの火の後に氷って!森ぃぃぃ!!温度差やばいってば!!」

俺が叫んでる間に、森の魔物たちはパニックを起こして大混乱。

それでもアベルは叫ぶ。

「よしっ、じゃあ今度は空飛ばすね~!《グルグル重力波》!!」

「ちょい待て!?今度は空間魔法!?」

ネーヴェも負けじと、すっ…とマントをなびかせながら言った。

「空に飛ぶのなら、翼が必要ですね。《氷翼の嵐(シルヴァ・ストーム)》」

シュバァァァッ!!!

氷でできた巨大な翼が、魔物ごと吹き飛ばしていった。

「おおおお前らやりすぎぃぃぃ!!!」

ついていけない俺の横では、鳥のように空中を舞う魔物がポーンッと一匹飛ばされていく。

それを見たアベル、超ノリノリ。

「クレムもなにか出そうよ!ポーションとか!」

「出せるか!そんなオシャレなノリで!ていうか戦闘中だぞ!」

「じゃあポーション投げる?頭に?」

「やめてくれもう頼むからッ!」

数分後――

森の中は、見事に《吹雪》と《火の海》と《魔力の風》のミックスジュース。

魔物たちは全員昇天(物理)。
クレムはもう放心状態。

「……なんで俺だけ、魔法耐性ゼロで見学させられてんだ……」

「でもクレム、今日の“走って逃げるスピード”だけはレベル高かったよ!」

「褒められてんのかそれ……」

ネーヴェは少し申し訳なさそうに言った。

「巻き込んで、ごめんなさい。今度は、もう少し……出力を控えめにします」

「“控えめ”の基準がもう、ドラゴン倒すレベルなのが問題なんだよ……」

その日の帰り道、
俺は、爆心地のような森を背に、静かに心に誓った。

(次回は……絶対、温泉とか、ほのぼの回にしてくれ)

でも次回も、たぶん無理なんだろうな。
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