アラ還の、恋は野を越え山越え谷越えて
「紗依ちゃん、とりあえずお母さんに食べさせてあげて」
話し合ってたのに、恥ずかしすぎる。
「大丈夫。匠さん、お願いします」

「じゃ、食べながら話そうか」
そう言って、入籍の話を始めた。
「この前も話してたのを聞いていたと思うけど、もう一度ちゃんと話すね。
家族じゃないと出来ないこと。入院の手続きや同意のサイン。もちろん紗依ちゃんでも良いけど、もし居ない時なら、待たないとダメなこと。家族じゃないと病室に入れないとか、色々ある。
相続だって、由佳が放棄すれば紗依ちゃんにするよう弁護士に話をつけておく。
紗依ちゃんなら放棄しないでお母さんのために使ってくれると信じてるから」

「匠さんが先なんてあり得ない、私の方が年上なんだから」

「でも平均寿命、女性の方が上でしょ、それにたとえばの話だから」
もう大切な人は送りたくないのに。

「わかりました。よろしくお願いします」
紗依が頭を下げてくれた。
どっちが子供かわからない。

「あと、匠さんがお父さんになるんなら、以前話してた、結婚式でバージンロード一緒に歩いてもらえませんか?」
ついでに何を言い出すの!
匠さんを見たら嬉しそうに、涙までためて「ほんとにいいの?」って、やる気満々じゃないですか!

なんか二人の世界が出来ている。
話しは終わったようだし、私はひつまぶしの三杯目を食べることにした。

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