アラ還の、恋は野を越え山越え谷越えて
~匠 said ~

久しぶりに由佳を抱きしめて寝ることができた。
ほんとは抱きしめるだけでは物足りない。
姉さんの言うように無理をさせないように我慢しないと。
色気がないなんて誰が言った。

ほんとはもう少し待つつもりだった。
でも明日、ようやく籍を入れる。
だから明日までの我慢にする。
去年までは当たり前のことだったのに、今では一人のベッドは寂しすぎるし、考えられない。

ようやく籍を入れてけじめをつける。
いや、けじめと言うより、回りに対しての牽制。
病室に俺が居ない時、柏原のじいさんの秘書が用事もないのにやたらとやって来てた。
スタッフも代わる代わる謝りに、誰かが病室にいた。
由佳は誰とでもいつも呑気に話しをしていた。

由佳を手に入れるためにはなんでもするつもりだった。
手に入った今、これからはとことん甘やかして、俺が居ないと困るくらいにしようと思っている。
鈍い由佳は回りの好意の目に気がついていない。

今、由佳はなにも考えないで眠っている。
それで良い、俺の気持ちがバレないほうがいい。
抱きしめる手に力が入った。

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