S L S -病弱天然ちゃんはドSイケメンに溺愛される-

青山勇希side

白田凛。
 病弱で、儚くて、でも芯のある目をした女。

 初めてカルテを見たときから、気づいていた。彼女の心臓には“理屈じゃ説明できない不自然さ”がある。
 それは、論文のどこにも載っていない“誰かの手が加えられた痕跡”だった。

 そして、その誰かが黒川廉なら――自分が探していた“禁忌の研究”がここにある。

 だから俺は凛に近づいた。

 優しげな言葉で、真実を求めているフリをして。
 彼女が知るべきだと、本当に思っていた。……でもそれ以上に、彼女を手に入れたら、黒川に勝てると思っていた。

 ――黒川廉。あの男は、医者としても男としても、何もかもが手に入りすぎている。

 だからこそ、俺は澪に惹かれた。
 “彼の一番大事なもの”を、自分のものにできたら。彼に勝てると、証明できる気がした。
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