この好きが本当になるまで ~腐れ縁の友人と嘘の恋を始めたら~
「ありがとう、慶介。ごめんね、引き止めちゃって」
「別にこのくらいはいい。俺も明日香と離れがたかったしな」

 急にデジャヴを感じ、なぜだろうと考える。大抵の場合、考えたところでデジャヴの原因には行き当たらないが、今日は上手く記憶を探り当てることができた。

「アイス一本分の時間くらい?」

 懐かしいやり取りを持ち出せば、慶介はおかしそうに笑い出す。

「ははっ、いったいいつの話してんだよ。ずっと根に持ってたのか?」
「ううん。あのときはすごく嬉しかったよ」
「それはよかった」

 恋人の距離で、友人のときのようなやり取りをするのは、驚くほど楽しい。明日香も慶介も、満面の笑みをその顔に浮かべていた。
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