この好きが本当になるまで ~腐れ縁の友人と嘘の恋を始めたら~
「じゃあ、そろそろ帰るな。明日も飲み会終わったら家まで送るから、勝手に帰るなよ」

 飲み会というのは、コラボ企画の打ち上げのことだ。

 力を合わせて作り上げた製品は、すでに販売が始まっており、順調に売り上げを伸ばしているとの報告が上がっている。

 明日の飲み会は大いに盛り上がるに違いない。今回の打ち上げは商品開発部のメンバーだけでなく、他部署との合同開催だから、とても賑やかなものとなるだろう。

「ありがとう。でも、飲み会終わった後だと、それこそ遅くならない?」
「気にしなくていい。明日香を一人にはしたくない。今は噂のこともあるからな」

 噂という言葉に、思わず苦笑いを浮かべる。

 ここ最近、明日香は社内でよくない噂を広められており、奇異の目で見られることが増えている。

 噂の出所はわからないが、男遊びが激しいという噂がなぜか出回ってしまい、少し仕事がしづらい状況になってしまった。

 とはいえ、大半の人は噂に振り回されず、今までと変わらない対応をしてくれるから、大きく困ることはない。今のところは精神的に少しダメージを負う程度で済んでいる。

「ただの噂だし、そんなに心配しなくても大丈夫だよ」
「大丈夫なわけないだろ。明日香が強いのは知ってるけど、そんなに一人で頑張るな。もっと俺に頼れよ」

 これ以上どう頼るというのだろう。明日香はもう十分すぎるくらい慶介に頼っている。

 今よりさらにとなると、もはやそれは依存になってしまいそうだ。
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