この好きが本当になるまで ~腐れ縁の友人と嘘の恋を始めたら~
 間もなくして飲み会が終了し、二次会へ参加する者らがまだ店の近くに残る中、慶介は彼らから死角になっている場所に身をひそめていた。

「如月、こっち」

 明日香をそっと呼び寄せ、彼女も死角に隠す。明日香のよからぬ噂が立っている状況で、二人でいるところを詮索されると厄介だ。新たな噂が立ってしまわないよう、しばらくはこのまま身をひそめていた方がいいだろう。

「ほかの連中がいなくなるまで、しばらくここにいよう」
「うん」

 明日香は小さく頷きながら、慶介に寄りかかるようにして抱きついてくる。同僚が近くにいる状況でこんなことをしてくるのは珍しい。

 もしかしたら立っているのがつらいのではないかと心配になる。

「どうした? もしかして具合悪いか?」
「ううん。ぎゅってしたくなっただけ」

 具合が悪いわけではないとわかってほっとするも、あまりにかわいいことをしてくる明日香に鼓動が騒がしくなる。

 愛らしい明日香をほかの人には決して見せたくなくて、慶介はより死角となる方向へ明日香を導いた。

「明日香、もう少しこっち」

 素直に従う明日香を慶介もぎゅっと抱きしめる。

 そのまましばらく抱きしめ合っていると、明日香が甘えた声で話しかけてきた。
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