この好きが本当になるまで ~腐れ縁の友人と嘘の恋を始めたら~
「慶介の家がいい」

 破壊力抜群の台詞に、慶介は思わず息を吞む。

「っ……いや、家は……」

 明日香と家で二人きりで過ごせたら、さぞ楽しいだろうとは思うが、それはあまりに危険すぎる。密室に二人きりでいて、理性を保てる自信がない。

 明日香の家にも何度か誘われたことがあるが、自分を抑えられるか不安で、いつも誘いには乗らなかった。

 今日もなにか適当な言い訳をして断ろうと考えるが、明日香がそれを許してくれない。

 潤んだ瞳で真っ直ぐにこちらを見つめ、甘く囁いてくる。

「慶介の家に行きたい。ダメ?」

 明日香にしては酔っているのか、少し赤くなった頬に、トロンとした目をして、懇願してくる。そんな顔をされてはとてもじゃないが断れない。

 慶介は白旗を上げる。

「はあ、少しだけな」

 承諾した途端、明日香の表情が一気にやわらかくなる。

「ありがとう」

 にこにこと嬉しそうに微笑む明日香がかわいくてたまらない。翻弄されているなと思うものの、それを心地いいと思う自分がいる。

 慶介は小さく「頑張るか」とつぶやき、己の理性を強く鼓舞した。
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