この好きが本当になるまで ~腐れ縁の友人と嘘の恋を始めたら~
「これ」

 そう言って慶介に取り出したものを差し出す。今、必要だと思われるものを渡したのに、慶介は信じられないという表情を浮かべる。

「はあっ!? いや、なんでそんなもの買ってんだよ」

 なぜと問われると答えは一つしかない。

「そうなってもいいように」

 今さらなにを驚いているのだろうか。覚悟していると最初に言ったはずだ。本当に抱かれる覚悟で明日香はここにいる。だからこそ、恥ずかしくても用意したのだ。

 好きな人に抱いてもらえるチャンスなど、明日香には一生訪れないかもしれないと思っていた。そのチャンスが目の前にあるのに、みすみす逃すはずがない。

「はあー、どうしてそう大胆になるかな。本当に勘弁してくれ。どれだけ俺の心を乱せば気が済むんだよ」
「ごめん……」
「ったく、俺の寿命が縮んだら、明日香のせいだからな」

 それは本当に困るともう一度謝罪する。

「それは、本当にごめん」
「ははっ、いいよ。それが明日香だからな。で、本当にいいのか?」
「いい。じゃないと買わない」
「わかった。今日はこれ使うけど、もう絶対買うなよ。いいな?」

 受け入れてくれて一瞬喜ぶが、もう次はないかのような台詞に再び落ち込む。

「……ダメなの?」
「ほかのやつに、明日香をそういう目で見られたくないんだよ。たとえ店員だったとしても。今度からは俺が用意する」
「そっか。わかった」

 今度があると言われると嬉しさを隠せない。慶介にこれからも求めてもらえるのだと思うと、自然とはにかんでいた。
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