この好きが本当になるまで ~腐れ縁の友人と嘘の恋を始めたら~
第七章 芽生えた想いの双方向性

1. どっちつかず

 自宅のローテーブルの上に並べられているのは自作ドレッシングの数々。慶介と二人で意見を出し合いながら作ったそれらを一つ一つ試していく。

「私、これ好きだな」

 明日香が口にしたのは、オレンジ色のもったりとしたテクスチャのドレッシング。すり下ろしたニンジンと玉ねぎに、ヨーグルトといくつかの調味料を合わせている。インドカレー屋でよく出てくるあのドレッシングを再現したものだ。

「明日香、俺にも」

 同じドレッシングをスプーンですくい、明日香を後ろから抱きしめるような形で座っている慶介の口元に持っていく。

「んー、うまいけど、俺には少し甘い。ドレッシングは酸味が強い方が好きなんだよな」
「まあ、それはわかる。私も酸味の強いの結構好きだよ」
「気が合うな」
「ふふっ、そうだね。でも、ほかのおかずが淡白な味のときは甘めがいいかな」

 そうつぶやいた直後、顎をつかまれ、顔を上へと向けさせられる。

「甘いのなら、俺はこっちがいい」

 こっちとはなにかを問う間もなく、唇を彼の唇で覆われる。わざとらしく音を立てて唇が離れたかと思うと、楽しそうな表情をしている慶介と目が合った。

「変態」
「なんとでも言え。俺にはこれが一番なんだよ」

 再び口づけられる。されるがままになるのは少し面白くないが、明日香にとっても甘いこの触れ合いには抗えない。自分からも求めるように唇を触れ合わせる。

 唇が離れた頃にはすっかり睦まじい雰囲気になっていて、二人してくすくすと笑い合った。
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