この好きが本当になるまで ~腐れ縁の友人と嘘の恋を始めたら~
「明日香さんはミコメ食品にお勤めなんですよね?」

 食事をしながらも、さりげなく訊いてくれる質問に、明日香は笑顔で答える。

「はい、そうですよ。商品開発部でいろいろな商品のレシピを考えています」
「とても面白そうなお仕事ですよね。元々そのお仕事を志望されていたんですか?」
「就活をしていく中でピンときたと言った方が正しいですかね。でも、食に関する仕事に就きたかったのは昔からですよ」

 明日香がそう答えると、平山はなぜか少しだけ意地悪に見える笑みを浮かべて問いかけてくる。

「もしかして子供の頃から食べることがお好きでしたか?」

 どうやら食いしん坊だったのかと訊きたいらしい。ただし、蔑んでいるわけではなく、明日香の本質を知りたいだけのようだ。

 それならばと明日香は彼の問いに肯定しながら、正直に子供の頃のことを述べる。

「とっても。食べる量は標準でしたが、一食一食へのこだわりがとても強くて、母を困らせていました」
「ひょっとしたら、自分でいろいろとアレンジするようになったのでは?」

 見事明日香の過去を言い当てる平山に、明日香は驚きながら頷く。

「仰る通りです。自分で調味料の分量を研究して、レシピに起こしていました」

 母の料理に不満があるわけではなかったが、自分の好みを追及したくて、子供の頃からあれこれと研究をしていたのだ。

 明日香の昔話に、平山は感心したように頷いている。
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